2008年 12月 12日
Lレンズを操る弁護士
あまりテレビのドラマを毎週欠かさず見るというタイプでは無いのですが、カミさんが私の好みを結構正確に把握してくれていて、私が好きそうなドラマがあると何話か録画しておいてくれます。で、気に行ったドラマは後々DVD化された時に入手したりするんですね。もうかなり前の話になりましたが、フジテレビの開局何周年記念だかで放映された「白い巨塔」。これは一時期ハマりましたねぇ。このドラマ、過去に故・田宮二郎が演じたりして有名なので、ストーリーその他はご存じだと思いますが、数年前のこのフジテレビ版も現在の著名大物俳優がズラリと並ぶ豪華なものだったですね。DVDももちろん持ってたりするんですが、そういう「だいぶ前のドラマ」を急に見たくなったりする事があって、2~3日で一気に第一話から最終話まで見返したりする事がよくあります。この前、このドラマの主題歌で使われていた「Amaging Grace」をひょんな事で聞いてしまい、それが原因でどうしても「白い巨塔」が見たくなり、数年ぶりで見た訳なんですが・・。
で、シナリオの中で巨大な大学病院の隠ぺいする誤診を暴くために、病院に乗り込んだある弁護士がカルテやらの証拠物をカメラに収めるシーンがあるんですが・・・。
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なんと、赤ハチマキを巻いたLレンズが登場(笑)。程良く使い込まれ、いい色に変化したレザーのカメラバッグに入った何本かのレンズから颯爽と取り出しました。この弁護士、事務所を引き払い地元に引っ込む寸前だったのですが、数あるレンズ資産を売却してまで窮地を乗り切ろうとは思わなかった様です。事務所は手放してもレンズだけは手放さない。なるほど、見上げたカメラマン根性を持ち合わせた男です。そして、レンズの売却を頼める様な気の合うカメラ屋さんも、一時的にレンズを預けて用立ててくれそうな友人も身近にはいなかった。有能な弁護士ではあるけれども、一方で孤独さが見え隠れしている様な印象を受けました。
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EF35mm F1.4L辺りのレンズでしょうか。病院内の会議室を既に想定していたのでしょう、明るい単をキッチリ持ち込む辺りは抜かりの無い、カメラ知識もしっかり持ち合わせた弁護士である事が容易に伺い知る事ができます。会議室に入った瞬間に絞り値まで計算していたであろう事は、ここで言うまでもありません。慣れた手つきでマウントに装着。いちいちカメラをひっくり返しマウントの向きを示す赤ポッチの位置を確認する等というカッコ悪い仕草は微塵も見せません。ボディの方はよく分かりませんが、右手の小指が余ってないところから見て1D系の様な気もします。mk2でしょうか。どこまで今のボディに信頼を置いているのか、後々に出てくるmk3を既に予約しているのかどうかまではこのシーンからは読み取る事はできませんでした。
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そして机の上に置かれたカルテなどを次々と撮影していく訳なんですが、なんとマクロリングライトまで装着しています。430EXや580EXじゃなく、マクロリングライト。大口径F1.4のLレンズをもってしても光量不足はよほど気になったと見えます。万が一バウンスができない部屋だった時の対処でもあったかもしれません。一方でマクロ撮影が好きだったという揺るぎ様のない事実もここで証明されました。仕事が終わった後や休日には、自宅で飼っているアフリカ・ケニアから個人輸入したカブトムシ相手に、日々その生態を撮影していたりするんでしょう。この日の朝、帰りにその珍しいカブトムシの為のエサを買って帰ろうと考えていた事は、おそらく今この時には完全に忘れ去り、目の前の書類の撮影に心底没頭している筈です。
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次々とバッファを気にせず連写を続ける弁護士・・。この日のために購入した大容量CFで、残り撮影枚数は気にならないでしょうが、RAWで撮り始めてしまったばかりに後々の現像作業だけは気になるところだったに違いありません。視界の隅に見える赤いプロストラップ。部屋に響く軽快なシャッター音。この先にイヤでも訪れるであろう、法廷での熾烈な争いを考えながら弁護士は心の中でこうつぶやきます。「やっぱ、いいわ。Canon」。

by kotodaddy | 2008-12-12 22:41 | その他


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