2012年 12月 12日
篠山紀信展「写真力」
新宿・オペラシティで開催中の「篠山紀信写真展 写真力」に行ってきた。
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当然ながら展示してある作品の撮影はできないので、入口の写真だけ(笑)。

篠山紀信と言えばワタシ的には「GORO」である(笑)。私が中学から高校生くらいの頃に刊行されていた青年誌。ここに、今となっては相当に大人しい、しかし当時のワタシの目には「相当にHな(笑)」ヌードが載っていたのだが、これを撮っていたのが篠山紀信。「GORO」を飾った女の子たちの写真群で別冊化された「135人の女ともだち」なんかをドキドキしながら見てたっけ・・(笑)。

で、「篠山紀信写真展 写真力」である。彼の代表作とも呼べる作品がズラリと並んでいるのだが、まぁどれも迫力あるものばかり。とにかく日本を代表する写真家の一人と言う肩書きで終わらず、語弊を恐れずに言えば、紛れもなくその最上位に位置する人物写真家。「篠山紀信に撮ってもらう」ってだけでも被写体となる人の名誉になってしまう訳で、もちろん完全にヌード専門のカメラマンではないから、今回の出展作も国内外の俳優やタレント、歌舞伎役者、スポーツアスリート、ちょっと変わったところで言えば入れ墨を入れた数十人の裸の男性群や、ディズニーランドのシンデレラ城をバックにディズニーキャラクターから運営キャストまで勢ぞろいみたいなカットまで、とてつもなく幅広い。

ひと通り見させてもらったのだが、とにかくやっぱり「眼チカラ」が違うんだよねぇ。「チカラ」と言うと、カメラを睨みつける様な視線を連想してしまいがちだけど、そう言う「眼チカラ」だけじゃない。ちょっと視線を落とした憂いのある眼。その人物の性格までを現しているかの様な優しげな眼。彼は今までドキュメンタリーのジャンルには足を踏み入れて来なかったらしいが、震災直後、これは写真家として撮らない訳にはいかないと言って被災地に赴いたらしいのだが、そこでカメラに収めた人々の眼。肉親を失い、家を失い、仕事を失った人々の眼。放心し、打ちひしがれ、もちろん無言なんだけど間違いなく何かを訴えかける眼。こう言った「眼チカラ」を被写体から引き出し、それを写真と言う二次元の世界上に確実に再現させるテクニックとセンス。これこそが、人物を前にしたトップ中のトップ写真家の成せる技なんでしょうねぇ。

そんなことを感じながら歩いていると、展示の最後の最後に彼のコメントが残されていた。写真を撮る訳にはいかないので、はじっこの方でケイタイにメモの形で残したのだが、要約するとこんな感じの文面だ。「写真力って、つまり写真の力がみなぎった写真のこと。人知を超えた写真の神様が降りて来なくちゃすごい瞬間は立ち現れない。だからその為にあらゆる努力をする。被写体へのリスペクト。その場の空気を正しく読み、自分の感性を最大限にヒートアップさせる。そうすると偶に神様が降臨する」。やっぱり篠山紀信自身もポートレートカメラマンとして「チカラ」を最も大事なものとして考えてるんだよねぇ。

さぁ、カメラを手にした時に果たして私はここまで考えてシャッターを切っているか。なんかただ闇雲にレリーズボタンを押してはいないか。写真撮影に対するアプローチの仕方や考え方は色々あるけど、「チカラ」を備えた写真を撮ることは全てのカメラマンが目指すところなのは間違いない。んー、上手く言えないのだが、なんかひどく「感じる部分」の多かった写真展でありました。いや、勉強になりました。

by kotodaddy | 2012-12-12 12:08 | その他 | Comments(6)
Commented by hot_coke at 2012-12-12 22:00
これ、行きたいなぁ。
…って調べたら、ここの前は熊本でやってたみたいですね~。
あぁ、行っとけばよかった…(涙)
やはり、この「写真力」ってタイトル、彼の作品だからこそ。
作品から溢れ出すチカラを体感してみたいです。
Commented by kotodaddy at 2012-12-13 07:33
hot_cokeさん
篠山紀信クラスの写真展ですから東京だけの開催じゃないとは思ってましたが、そうですか、
熊本でやってましたか^^ そうするとまだこの後にどこかに巡って行くかもしれないですね。
森光子さんや勘三郎さんのポートレートもドーンと飾られてましたが、期せずして開催期間内に
亡くなってしまったので、作品の右下にひっそりと小さな黒いリボンが添えられていました。
森光子さんは「日本のお母さん」と呼ばれていたそうですが、出展された作品も女神像の様な
神々しくさえ感じられる優しさが感じられる1枚でした。亡くなったから尚更そう感じるのかも
しれませんが、本当に素晴らしいカットだと思いましたねぇ。
Commented by ジュニアユース at 2012-12-13 19:02 x
こんにちは。
こうした著名な写真家の写真展って、参考になるというか、その凄さを感じられる
良い機会ですよね。地方在住者にとっては、なかなか気軽に行けないのが難なの
ですが。
「GORO」、私も毎回買ってました。凄い写真だなあ、という印象でしたね。被写体の
内面まで表すとは、こういうことなのか、と思わせられました。
部門は違えども、これからも写真の力を感じながらシャッターを切っていきたい
ものです。
Commented by kotodaddy at 2012-12-14 07:08
ジュニアユースさん
そうなんですよ。こういう記事って、現実的には行きたくても行けない方もいらっしゃるので
記事にするのも躊躇があったのですが・・^^; 実は最近になって割とこういった写真展に
出掛けて行ってるのですが、今回の篠山紀信展は規模も大きかったし、なによりテレビや
各種メディアで数多く見掛ける人物が対象になっているからか、作品のほとんど全ての前で
立ち止まって見入ってしまいましたね。「GORO」を手にしていた中学から高校の頃は写真の
趣味は無かったのですが、現在もう一度手にしてみたら視線や考え方も違いますかねぇ。
Commented by wonderfullifewith at 2012-12-14 11:17
GORO、自分の中では「神保美紀」さんが印象的でした。

今からすれば全然なんですけど、湯治の中高生には刺激が大きい雑誌でしたね(笑)。
Commented by kotodaddy at 2012-12-14 20:38
wonderfullifewithさん
おぉ、神保美紀さん^^ 記憶に残ってますねぇ、GOROでの神保美紀さんは。
ああいうソフトな描写の作品。数多く展示してありましたが、特に印象に残っているのが
大原麗子さんでしょうか。ふんわりとした描写の中にオーラと言うか、後光が差している
かの様な作品でした。この展覧会の公式HPにも出てきますので、もし良かったら・・^^


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